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三宅島の火山ガスによる枯損木調査

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平成18年9月11日~13日に三宅島の火山ガスによる枯損木調査を行いました。

1. 調査日程 : 平成18年9月11日~13日 [調査日12日(火)]

2. 調査機関
   東京都 都市整備局都市づくり政策部広域調整課建設副産物係長 宮田清綱
   総務局三宅支庁土木港湾課5名 課長 青山忠史
   NPO法人全国木材資源リサイクル協会連合会 理事長 彦坂武功
        〃              専務理事 中川和義
   住友林業株式会社 マネージャー 中平有次

3. 調査結果(概要)

a. 別添航空写真「三宅島火山ガス等による植生への影響範囲」に見られるとおり、噴火後約5年で影響範囲面積は噴火後1年目と比べ倍化し3,100haに及んでいる。
b. Aの内老廃した森林は2,500haに及んでおり、小木も含め約500万本あるとも言われ、今後この枯損木が流木となり砂防施設内に流入する恐れがある。
c. この対策のひとつとして現地に炭化炉を設置して炭資材として土壌改良剤や水質浄化材や調湿材などへの活用が試みられているが、処理量が膨大で処分の目処が立っていない。
d. 島内に産廃の中間処理業(ガラ主体)として時間3t程度の木屑の破砕処理業者1社あるが、現状では法面工事や歩道用資材としての需要に限られている。
e. 視察の結果、樹種は広葉樹(タブの木=クスノキ科の常緑高木ほか)が多く、針葉樹(杉・檜など)は人工林として植栽された地域に見られ全体の1/10程度くらい。
f. これら枯損木は噴火によるガス(主に硫黄濃度)の影響を受け立ち枯れしているが、全体に白色腐朽菌(きのこの仲間)に犯され白骨状態となっており繊維質のセルロースは残っているもののリグニンに乏しく製紙原料等には向かない状態になっている。燃料としてのカロリーも科学的調査が必要である。
g. 調査は、東京都三宅支庁の案内でほぼ全島視察できたが、今後の対策上で唯一の好条件は枯損木の搬出用道路が整備されていることであるが、このまま放置しておくと朽ちた流木による2次被害のほかシロアリ等の発生が懸念される。
h. 現地で東京都関係者や三宅村関係者と枯損木の活用と植樹等によるみどりの回復について種々の意見交換を行い、それぞれの立場で各方面へ働きかけ連携を深めていくことにした。

―枯損木搬出可能量予測―
2000本/ha×2500ha×1/20(対照面積)×2m3/1本×0.4t/m3×>1/2=10万t

【写真資料】
三宅島枯損木写真1

三宅島枯損木写真2